人気ブログランキング | 話題のタグを見る

シリーズ-東京の地下鉄を診断する:南北線

1.路線の距離と所要時間(スピード)
目黒-赤羽岩淵間21.3キロを約40分で結びます。沿線はいままであまり鉄道に縁のない地域を走っており、また乗り入れている埼玉高速鉄道はJR東北本線と東武伊勢崎線の間の、鉄道不毛の地を走り、川口・赤羽からのバス以外に全くアクセスがなく「陸の孤島」とまで言われた鳩ヶ谷市を通っていることから、非常に貴重な足になっています。
シリーズ-東京の地下鉄を診断する:南北線_d0044222_21362292.jpg
2009.2.7 東京急行電鉄目黒線多摩川駅

2.路線の便利度(相互乗り入れ・他路線とのアクセス)
目黒で東急目黒線(旧目蒲線)と、赤羽岩淵で埼玉高速鉄道線と相互乗り入れしています。田路線とのアクセスは目黒・白金高輪・麻布十番・溜池山王・永田町・四ツ谷・市ヶ谷・飯田橋・後楽園・駒込・王子の11駅で、半蔵門線に次いで便利になっています。山手線とのアクセスは目黒と駒込の2駅でまずまず。東京メトロの路線では唯一京浜東北線とのアクセスがある(王子)というのが特徴です。
東急との相互乗り入れに伴って、東急は目蒲線を2つに分離、目黒-多摩川間を目黒線として独立(多摩川-蒲田間は多摩川線)、東横線武蔵小杉まで複々線にして延伸の上、昨秋からは日吉まで乗り入れ、さらに急行運転を開始しました(停車駅は武蔵小山・大岡山・田園調布・多摩川・武蔵小杉)。
乗り入れ以外のメリットとして、神谷町(日比谷線)、虎ノ門(銀座線)、六本木(日比谷線)の中間の位置にあって、アクセスが若干不便だったアークヒルズのほぼ直下に2駅が作られていること(溜池山王・六本木一丁目)、隣の再開発地区である泉ガーデンの直下に駅がある(六本木一丁目)など、再開発地区へのアクセス路線としての重要度が高いことが挙げられます。


3.ダイヤ(路線内乗継の問題など)
赤羽岩淵方面は、朝夕ラッシュ時に王子神谷ゆきがありますが、殆どの列車が埼玉高速に乗り入れます。日中は概ね3本に1本が鳩ヶ谷ゆきになりますが、鳩ヶ谷以遠は乗降客数が大幅に少なくなるので、妥当な措置と言えます。終点の浦和美園駅がサッカーワールドカップの会場になったさいたまスタジアムの最寄り駅であることから、サッカーの大試合の時には臨時列車が運転されます。
一方目黒方面は、約1/3が白金高輪ゆきになります。これは白金高輪-目黒間が都営地下鉄三田線との共用区間になっているためで、白金高輪止まりでは同一ホーム上で三田線と乗換えが可能なので、利便性はそれほど悪くなりません。なお、ほぼ終日武蔵小杉で東横線特急と接続するダイヤになっており、横浜方面に向かう時の利便性を確保しています。


4.車両
東京メトロは開通時からの9000系が活躍中です。9000系は東京メトロでは初めてデビュー時からVVVFインバータ制御の車両です。また、ワンマン運転を本格的に導入したため、かつて日比谷線で試験的に導入されたATO(Automatic Train Operation=自動列車運行装置)を本格導入した最初の車両です。
シリーズ-東京の地下鉄を診断する:南北線_d0044222_22363348.jpg
2009.2.7 東京急行電鉄目黒線多摩川駅
埼玉高速は2000系。外観は違いますが、内装や基本性能は東京メトロ9000系に準じています。ラインカラーは東京メトロに合わせてエメラルドグリーンになっています(埼玉高速のコーポレートカラーは濃紺)。
シリーズ-東京の地下鉄を診断する:南北線_d0044222_2250134.jpg
2009.2.7 東京急行電鉄目黒線多摩川駅
東急は(2代目)3000系と(2代目)5000系です。3000系は外観は埼玉高速2000系に似ていますが、南北線の特殊な形態を考慮して、東急では初の試みとなる機構が盛り込まれました。それは後にデビューした5000系の製造時にプロトタイプとして参考にされ、現在は2種類の車両が共通運用で活躍中です。
シリーズ-東京の地下鉄を診断する:南北線_d0044222_22591687.jpg
2009.2.7 東京急行電鉄目黒線多摩川駅
シリーズ-東京の地下鉄を診断する:南北線_d0044222_23031100.jpg
2005.7.27 東京急行電鉄東横線都立大学駅

5.その他
南北線は、現在丸の内線・副都心線・都営三田線で採用されているホームドアを東京の地下鉄で初めて採用しました。これにより駅での触車事故が大幅に減少して、ダイヤの乱れが非常に少なくなりました。また、東京の地下鉄としては初めての「路線共用」が実現しました。白金高輪での都営三田線との接続も比較的良く、ここでの共用は非常にうまく行っていると思います。唯一の課題はかつて支線区だった東急目黒線の規模が東横・田園都市の従来からの本線格に比べ小さいため、現在も8両編成での運転になっていることくらいで、コストパフォーマンスのいい路線と言えると思います。経済情勢の激変期の建設だったため、現在は埼玉高速沿線の開発が頭打ちになっていますが、今後の開発の進行によってますます重要度の高い路線になっていくことでしょう。

☆☆☆☆
by borituba | 2009-02-12 23:23 | てつどう