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シリーズ:ローレル賞の系譜-13

すでにご紹介したとおり、平成に入ってからのローレル賞は「西高東低」の状態が続いていますが、これは東西の通勤事情の違いが影響しているように思います。
関東では、JR山手線を中心に、そのターミナルまでのアクセス鉄道が放射状に伸び、山手線の中はターミナルをショートカットして結ぶ形で地下鉄網が走り(かつては路面電車=都電がその役割をはたしていた)、近年はそれを補完する形で相互乗り入れが盛んに行なわれています。大手私鉄は京急を除きほとんど「顧客」を持っており、沿線はそれぞれ独自の文化を持っていると言っていいでしょう。
一方、関西では京阪神、和歌山、奈良、滋賀との間のアクセスはJRと私鉄が平行しており、ターミナルもそれぞれ独立しています。大阪環状線はあるものの、メイン路線は東海道・山陽本線と関西本線、阪和線であり、阪急、阪神、京阪、南海とのスピード・サービス両面の激しい競争が果てしなく続いています。
国鉄が分割民営化され、この関西圏の路線を引き継いだJR西日本は、輸送力のアップとサービスのバランスの取れた新快速用車両を登場させました。平成2(1990)年受賞の221系です。
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2005.8.29 大阪環状線大正駅
221系は、2扉のために乗降時間等私鉄との競争にいささか不利だった117系に代わり、新快速用の車両として東海道・山陽本線に投入されました。周辺の線区への乗り入れも考慮して、2両ユニットを基本に4両、6両の固定編成になったことで、最大12両までの様々な編成が組替えによって作成可能になり、そのためそれまで103系や113系などにかなりムリなスピードで走らせることが多かった阪和線(現・紀州路快速)や関西本線(現・大和路快速)などにも転用でき、周辺線区のスピード&サービスアップに大いに貢献しました。
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2005.8.29 大阪環状線新今宮駅
103系、113系、201系などを更新に更新を重ねて大事に使っている物持ちがよいJR西日本ですが、新快速車両だけは例外で、大体10年前後で新型と交代していますが、221系も、登場から10年の平成12(2000)年に後継の223に道を譲り、「新」の字の取れた快速や、他線区で走り始めた快速用に転出、さらに区間快速や普通にも使われています。
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2005.8.29 大阪環状線鶴橋駅
221系は「最後の国鉄型」と言われます。JR西日本初の新車ですが、側面の車両番号の字体が「国鉄体」になっているなど、フォルムも含めて国鉄時代の仕様が色濃く残っています。新快速からは撤退しましたが、現在は桜井線や奈良線、赤穂線など近郊の路線でも活躍を続けています。
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2005.8.29 奈良線京都駅
by borituba | 2007-04-08 21:48 | てつどう