豊島区都電散歩3-名優の眠るところ

鬼子母神前から一駅、雑司が谷に来ました。この区間は、地下鉄13号「副都心線」と、池袋と目白通りを結ぶ明治通りのバイパスの工事が同時進行中で、線路の左右が更地になっています。
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2007.3.20
すぐ近くの雑司が谷墓地には、著名人の墓が数多くありますが、十五世市村羽左衛門、六世尾上梅幸、六世尾上菊五郎という、大正から昭和前半を代表する3人の名優の墓があります。
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2007.3.20
歌舞伎の世界に「女房役者」という言葉があります。大体同世代で、芝居の相手役をずっと務めた役者のことをこう言います。十五世羽左衛門の「女房役者」だったのが六世梅幸でした。ライバルだった五世歌右衛門が淀君や政岡など孤高の女性を得意としていたのに対して、梅幸の方は三千歳やおかる、揚巻といったいい男と対になる女性も得意としており、その相手役が天下の美男十五世羽左衛門だったのです。二人の墓は寄り添うように並んで建てられています。
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2007.3.20
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2007.3.20
六世梅幸の弟で、十五世羽左衛門の従弟が六世菊五郎です。十五世羽左衛門が一代の美男として今も語り草になっていますが、六世菊五郎は悪声というハンデを逆手にとったリアルな表現と、近代人としての斬新な解釈で再構成した世話物、そして肉体表現の極北といっていい厳しく鍛え上げられた舞踊で、後世の役者に強い影響を与え、そのDNAは現在の花形たちまで受け継がれています。墓所は兄や従兄の墓所から少し離れたところに意外にひっそりと建てられています。
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2007.3.20
墓石の傍らには、音羽屋の替え紋である杏葉菊の紋を立体的にした手水鉢が、名優の墓所に彩を添えています。
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2007.3.20
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by borituba | 2007-03-22 23:27 | ふうけい | Comments(0)