シリーズ:相互乗り入れ-7

都営浅草線という地下鉄は、ある意味東京でもっとも影が薄い地下鉄かもしれません。それは、2つの理由があります。
一つは、地下鉄としてはメインルートとはいえない路線であることです。西馬込-五反田-泉岳寺-新橋-東銀座-浅草橋-浅草-押上という、東京の旧市街の端をなぞるような路線は、丸の内や霞ヶ関や六本木や銀座通りなど東京都心の中心から微妙に距離を置いており、また渋谷・新宿・池袋といった副都心レベルの街とは縁がないルートになっています。
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2006.7.13 京成電鉄押上線八広駅
もう一つは、自社車両の影が薄いことです。浅草線には京急、京成、北総と3社(厳密には芝山鉄道の3600形が来るので4社)の車両が来ています。
京急=1000形、1500形、2代目600形、N1000形(4種類)
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2006.7.3 京成電鉄押上線八広駅
京成=3200系、3300系、3400系、3500系(更新車のみ)、3600系(芝山車を含む)、3700系、2代目3000系(7種類)
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2006.4.14 京浜急行電鉄本線新馬場駅
北総=7000系、7250系、7300系、7500系、9000系、9100系(6種類)
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2006.7.13 京成電鉄押上線八広駅
以上ざっと17種類の電車が走り抜けていますが(京成・芝山3600系は京急には入れない)、都営の車両は5300系と1編成だけ予備車として残っている5200形の2種類のみで、地上に顔を出すのも5300系だけで(実際には5200形は現在他線への乗り入れはしておらず、ほとんど西馬込-泉岳寺間の区間運転になっています)バラエティに富んだ各社のラインナップに比べやはり見劣りがするのは否めません。
相互乗り入れの場合、乗り入れる車両を運転する場合のコストを均等に負担することになっています。なので、基本的に運転コストを揃えるために車両のスペックも極力揃えるようになっています。しかし、極端にスペックが異なる車両が乗り入れてくる場合、その差額を支払うケースもかつてはあったそうです。
また、乗り入れる会社によって車両数にバラツキがある場合、例えばA社が10編成あるのに対して、B社が8編成しかない場合、差し引き2編成分のコストを負担しなければなりません。
しかし、どこの会社も経営合理化に四苦八苦している中で、実費負担はなるべく避けたいのが実情です。そこで、乗り入れ車両をお互いに交換する形で費用負担を相殺しています。
浅草線で例をとると、5300系が押上始発の京成線の運用に入ったり、京成の車両が押上-西馬込間を往復したり、かつての例では京急の車両が京成線内の運用に入って上野に顔を出したりしていました。芝山鉄道の場合はちょっと特殊で、自社車両が1編成しかないため、ほとんど他社線区に出稼ぎに行って、費用を相殺しています。
最近の例では有楽町線で、西武6000系が和光市-新木場間を往復する運用や、半蔵門線における東武車の押上・白河清澄止まりの運用なども、相殺のためのものです。千代田線でJR車、小田急車が地下鉄区間から先には行かないのは、相殺運用のために機材を増設したりするコスト増を嫌ってのことのようですが、前に書いたとおり「迷惑乗り入れ」などと言われる原因になっています。
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2006.7.13 京成電鉄押上線八広駅
都営浅草線の沿線の現状を考えると、この路線が東京都が「第1種鉄道事業者」である必要性が極めて薄いような気がします。最古の都営地下鉄として、建設費などの減価償却はとっくに終わっているので、関西の神戸高速鉄道のような「第3種鉄道事業者」=線路の貸し出し業になったほうがいいのではと思うのですが…
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2006.7.13 京成電鉄押上線八広駅
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by borituba | 2006-07-27 22:09 | てつどう