2006年 02月 01日
報恩・昭和の電車グラフィティ15-東急8000系
東急は系列の東急車輛がステンレス車両のパイオニアとして早くから開発を進めており、名車初代5000系(青ガエル)ベースのセミステンレス試作車5200形を皮切りに、セミステンレス量産車6000系を経て、昭和37年に初のオールステンレス車の7000系がデビュー。以後東急はステンレスカーの牙城となり、青ガエル以来の緑に代り銀色がイメージカラーとして定着することとなったのです。また、近年では台車や制御機器が老朽化した7000系や7200系の車体をそのままに、VVVFインバータ制御の三相交流モーター、ワンハンドルマスコンなど最新の機器に交換した「リサイクル電車」7600・7700系も登場。ステンレス車両の「持ちの良さ」が立証されています。
その完成形といっていいのが昭和44年デビューの8000系です。ほとんど飾り気のない切妻の前面、帯も全くない銀無垢の車体と、当時は「没個性」の典型と言われました。事実、かつて東急と聞けば「青ガエル」初代5000系や「ダイヤモンドカット」7200系(現7600系)、または支線区に残る旧型車などが注目され、本線主力の8000系、8500系などはハナも引っ掛けられないような状況でした。
しかし8000系は、日本初の界磁チョッパ制御、ワンハンドルマスコンを採用した車両で、当時としては画期的なハイテク電車だったのです。そのため30年以上更新・改造されることなく主力として走り続けられる「丈夫で長持ち」電車となったのです。
近年では他形式との視認性の確保のため前面に黒と赤の帯が付けられてその特異なマスクから「カブキ車」と呼ばれています。
全盛を極めた8000系も、最新鋭の2代目5000系の増備が進んで、伊豆急や遠くインドネシアへの譲渡や、廃車が進んでいます。そんな中、先頃東横線の8039編成がデビュー当時の「銀無垢」に戻されて注目を集めています。