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シリーズ:田原町駅の歌舞伎紋章-2

市川團十郎と並ぶ江戸歌舞伎の2枚看板が尾上菊五郎です。
市川家が元禄以来の「江戸荒事」を売り物にしたのに対し、尾上家は江戸中期に出現した初代が生世話と呼ばれる当時の世情をリアルに表現した芝居で売り出し、以来江戸世話物を「家の芸」とし、世話物から派生した怪談物もそのレパートリーとしました。
ことに近代では立役、女形両方を得意とする「兼ネル役者」を多く輩出し、現七代目菊五郎も「兼ネル役者」です。「兼ネル役者」とは、手っ取り早く言えば「助六」と「揚巻」の両方が出来る役者と思っていただければいいでしょう。
現菊五郎の祖父にあたる六代目は、その父五代目が洗練した近代江戸(東京)歌舞伎を継承すると同時に、近代人の目で古典台本を読み直し、例えばそれまで「チャリ場」だとされていた「吃又」を、又平夫婦の情に焦点を当てた名狂言に仕立て直すなど歌舞伎を近代劇として完成させました。
六代目は、必ずしも恵まれていたとはいえない口跡や体型をその天才的な演技でカバーし、さまざまな名狂言を作り出し、「相方」と言ってもいい七代目三津五郎と共に松羽目物を中心とした楽しい舞踊劇や、「鏡獅子」に代表される神品とされる舞踊など、その子供世代が全て没し、孫や曾孫世代が花形として活躍している現在に至るまでその影響圏は大きく、「六代目」といえば菊五郎というほどになっています。
紋は「重ね扇に抱き柏」です。
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2005.12.15 東京地下鉄銀座線田原町駅
by borituba | 2005-12-20 14:59 | おしばい