よくあるご質問:クハモハのデハサハ?

非鉄の知人と話をしていると、よく訊かれます。

電車についてる「クハ」とか「モハ」ってなんのこと?」

訊かれるたびになるべく丁寧に答えていますが、ここで整理しておくことにします。
電車についている記号は概ね「クハ」「モハ」「クモハ」「サハ」「サロ」の5種類です。一部の改造車両に「クモロ」とか「モロ」とかがありますが、首都圏や関西圏で普通に走っている車両はほぼこの5種類のどれかだと思っていいでしょう。

この記号は、電車の形式と座席の等級の2つに分けられます。
まず下の「ハ・ロ」が座席の等級を示します。これはかつての「一等・二等・三等」を示す「イ・ロ・ハ」がそのまま用いられています。現在は等級制は廃止されていますので「イ」をつけた現役の車両は存在しません。
等級制は廃止になりましたが、二等車はグリーン車という形で残りました。グリーン車の登場当初「特別二等車」と呼ばれていたのを憶えておられる方もおられるでしょう。現在、グリーン車の車両には二等車をあらわす「ロ」が付いています。寝台車両ではA寝台に「ロネ」という記号がつきます。
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2005.12.22 東海道本線東京駅
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2005.12.22 東海道本線東京駅
私たちが普段に乗っている通勤電車は「普通車」ということで、三等車を示す「ハ」になるわけです。

一方、上一文字乃至二文字は、車両の形式をあらわします。
「ク」は「制御車」で、制御装置=運転台を備えた車両という意味です。制御=駆動ということで「ク」なのです。
「モ」は「電動車」で、モーターを備えた車両という意味です。
「サ」は「付随車」で、制御装置もモーターも持たない車両です。英語で「随行」を意味するSubordinateがもとと言う説が有力ですが、諸説あるようです。
「クモ」は「制御電動車」で、制御装置とモーターの両方を備えた車両という意味です。
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2011.7.10 京葉線葛西臨海公園駅
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2012.2.4 西武鉄道池袋線中村橋駅
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2012.5.5 西武鉄道池袋線中村橋駅
もう一つ、私鉄独特の「デハ」というのがあります。「電車」を意味する「デ」ですが、私鉄の多くがこれを採用しています。しかし、なぜか「デハ」を車両に表記するケースはほとんどなく、車両番号のみの表示になっています。われらが京急初代1000形も、本名は「デハ1000形」です。
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2006.2.22 京浜急行電鉄本線品川-北品川間
私鉄の場合は、関東圏に限って言えば「デハ」派と「モハ」派に分かれます。しかも分布も非常にはっきりしていて、山手線の新宿と品川を境界線にして斜めに線を引くことができます。
すなわち、西武・東武・京成が「モハ派」、京王・小田急・東急・京急は「デハ派」です。実は往年の「大東急」が「デハ」の発祥ではないかと思われます。
現在の京成が「モハ派」というと意外に思われるかもしれませんが、都営線と乗り入れを始める前は地理的なつながりから言うと東部との関係が深く、車両も東武にならって「モハ派」です。
しかし、最近では「クハ」「モハ」「クモハ」を表示する車両は3社とも少なくなり、京成では3300形のみ、東武では8000系と9000系のトップ編成のみ(表示は車内の銘板のみ)、一番数多く残っている西武も車両の更新時に旧社章撤去とともに順次車両番号のみの表示に切り替えており、この表示が見られなくなるのもそんなに先の話ではなくなっています。
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2012.2.4 西武鉄道池袋線中村橋駅
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2012.2.26
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2012.2.26
「デハ」派は、京急のように付随車のみ2「サハ」を採用して、電動車と制御車は分けないところや、「元祖」東急のように一切合財「デハ」にしてしまうところもあり、各社によってバラバラです。
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2012.1.29 京浜急行電鉄本線大森海岸駅
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東京急行電鉄多摩川線沼部-鵜の木間
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by borituba | 2012-07-31 22:39 | てつどう