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心優しき「鎧武者」

草原の雄、クロサイです。これほど姿かたちで誤解されている動物も他にないでしょう。
「猛獣」といわれる動物たちは大概、食物連鎖の頂点にいることが多いので、その性質は別問題として、自然とある種の「威厳」を帯びていることが多いものです。ごろごろと寝ていることの方が多いライオンやトラ、クマなども、起きて歩いている姿にはどことなく「王者の風格」を感じます。
サイという動物は、こと「威厳」ということでは肉食獣に勝るとも劣らないのですが、実は草食獣であり、基本的には穏やかな性質の生き物です。ただ、縄張りを荒らしたり、危害を加えようとする者には、角を振りかざして突進しますが、それ以上の攻撃-噛み付くとか引っ掻くとかはできません。なのに、この姿から「猛獣」と誤解され、特撮物には今もサイをモチーフにした怪獣・怪人が登場してきます。
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2005.7.5 上野動物園
荒俣宏氏の博物学の本などを読むと、昔の「博物図譜」には必ずといっていいほど、誇張されてまるで鎧を着せたようなサイの挿絵が登場します。アフリカのサイもかなり厳しい姿ですが、こうした図譜のモデルになったのはどちらかといえばアジアのサイのようです。画像はインドサイですが、アジアのサイはご覧のように本当に鎧をまとったように見えます(インドサイよりもさらに絶滅寸前のジャワサイはもっと鎧っぽく見えます)。しかし性質はアフリカのサイよりさらにおとなしく、ジャングルや森を悠然と歩き回っています。しかし、密林の中でいきなりこんな大きくて厳しい姿に出くわしたら、昔の人はやっぱり「猛獣」と思ったことでしょう。
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2005.6.24 多摩動物公園
by borituba | 2005-07-09 23:56 | どうぶつ