今日のコンサート

今日はソプラノの福田美樹子先生ご出演の第86回コンセールC(セー)・フランス歌曲の歴史シリーズ第25回「ラヴェルの歌曲~没後80年記念」を聴いてきました@文京シビックホール・小。
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ラヴェルの歌曲は、フランス歌曲のなかでもなかなか生で聴く機会がありません。ピアノ一挺と組む歌だけでなく、オーケストラや室内楽と組む曲や、歌詞がない歌もあり、またピアノパートは非常に難しくまた技巧以上に表現力が求められているので、ピアニストにとっても一筋縄ではいきません。
そんなこともあって、ラヴェルの歌曲の演奏には入念なリハーサルが必要なので、生で上演される機会が少ないのが現状です。

今回はそんなラヴェルの歌曲をまとめて聴けるというたいへん貴重な機会でしたが、フランス歌曲のエキスパートのみなさんをもってしてもかなりの冒険であったことでしょう。

こちらの会の素晴らしいところは、まずもってプログラム・ノートの解説がわかりやすくかつ丁寧であることと、全曲の歌詞対訳がきちんと付いていることです。さすがはエキスパート集団です。

今回一番素晴らしかったのはやはり福田先生でした。今回は「ハバネラ形式のヴォカリーズ」「クレマン・マロの2つの諷刺的な詩」「トリパトス」をお歌いになりましたが、やはり波に乗って定期的に大きなステージをこなしている方は歌に底力と華があります。また最初に無歌詞で声を温めてから技巧的な歌を歌われたのが奏功して、ムラのない安定した歌になったと思います♪
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福田先生以外の出演者では、「博物誌」を歌われた安東亰衣子さんと小阪亜矢子さんのお二人のメゾソプラノが良かったです。安東さんは非常に素直な美声で、ディクションとのバランスが良く、聴きやすく素晴らしかったです。
一方小阪さんはやや鼻にかかったちょっとクセのある声でしたが、それを上手く個性に昇華してニュアンスのある表現に結びつけていて印象に残ります。例えれば熟成したチーズの味わいでしょうか。

その他のみなさまもやはりエキスパートだけあってディクションが素晴らしく、ラヴェルの世界を演出されていました。
by borituba | 2017-05-15 23:35 | おんがく | Comments(0)

今日の一枚~新しい名盤

今日タワレコにて入手。
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モーリス・ラヴェル:
バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(全曲)

アンサンブル・エデス(合唱)
レ・シエクル(管弦楽)
マリオン・ラリンクール(ソロ・フルート)
フランソワ=クサヴィエ・ロト(指揮)

「春の祭典」の初演譜・ピリオド楽器による録音で音楽界に旋風を起こしたフランソワ=クサヴィエ・ロトとレ・シエクルが、ラヴェルの大作「ダフニスとクロエ」に挑戦。純フレンチ・スタイルのピリオ楽器による限りなく初演に近い響きの再現の試みです。
「ダフニスとクロエ」の初演は1912年、「春の祭典」の1年前です。弦楽器はすでにスチール弦になっていましたが、張力はまだ弱かったので、現代よりローピッチ、管楽器は現代とほぼ近いシステムですが、純フレンチ・スタイルの個性的な響きは現代のオーケストラが失ってしまったものです。
ピリオド楽器による演奏ではどうしても現代オーケストラに比べダイナミック・レンジが狭くなりますが、その分フランス音楽の命とも言える一音一音の細かいニュアンスが表面に浮き出て、古典劇らしいみずみずしい叙情を生み出しています。第3部(第2組曲)のフルート・ソロは当時の所謂細管ですが、ニュアンスに富んだスマートで美しい響きが奏者の歌心を引き立てて素晴らしいです。
指揮のロトはピリオド楽器オーケストラのシェフということで、古楽屋さんかと思ったら、ミヒャエル・ギーレンの後任としてSWR交響楽団(旧南西ドイツ放送響)のシェフを務め、ブーレーズやリゲティやパヌフニクの録音も製作するなど現代音楽も得意とする指揮者で、譜面の解釈は現代的でアグレッシヴです。古典的な響きをアグレッシヴに展開する…ギーレンの後継というより、20世紀音楽におけるアーノンクールのような存在でしょうか。
管・打楽器は指定通り、弦楽器も必要最小限の編成で、合唱は40人弱の室内楽的な規模で、細かい動きもくっきりして、新鮮な驚きです。しかし音楽のスケールはおおらかでリズムのキレもよく、繰り返し聴きたくなるご機嫌な演奏です。録音もホールトーンを程よく拾ったニュアンスにあふれ優秀で、新しい「ダフニス」の名盤としてオススメします♪
by borituba | 2017-04-28 23:19 | おんがく | Comments(0)

今日はモーリス・ラヴェルの誕生日です♪

そこで手持ちの音源を引っ張り出して聴いてみることにしましたが、ラヴェルの作品は日頃から聴き倒しているので、こういう特別な機会には変わった聴き方をしてみようか、ということで、先日のショパンの誕生日にやったように、フランスにこだわらずに多国籍な音源でラヴェルの世界を楽しもうということにしました。
まずは管弦楽。「ダフニスとクロエ」はあっしが一番好きなラヴェルですが、今日はクリュイタンスやミュンシュを措いて、ラヴェルに私淑していて実はフランス音楽巧者だったバーンスタインと、実は昨日が誕生日、なんと今日が命日というキリル・コンドラーシンの全曲版の録音を聴いてみました。どちらもスケールの大きな、そして美しい演奏です。
三顧の礼で迎えたミュンシュがわずか2年で世を去られてしまい、シェフ不在となったパリ管を、カラヤンが一年だけ面倒を見たことがあり、カラヤンとしては異色の録音をいくつか遺しました。その中にラヴェルの作品があります。「道化師のアルボラーダ」「スペイン狂詩曲」「クープラン氏のトンボー」「ラ・ヴァルス」…いずれもカラヤンの唯一の録音ですが、意外にもこれが素晴らしい。20世紀音楽では新古典主義と一番ウマが合ったカラヤンの精緻な指揮がラヴェルのスコアの緻密な美しさを存分に引き出しています。特に「クープラン氏のトンボー」と「ラ・ヴァルス」が圧巻です。
アメリカのオーケストラは機動力と表現力に優れているので、ラヴェルの緻密なアンサンブルの表現に向いていると思います。ジャン・マルティノンがシカゴ時代に録音したラヴェルは、後にパリ管と録音した全集を凌ぐ水際だった素晴らしい演奏です。何と言ってもオーケストラが上手いです。「ダフニスとクロエ」第2組曲の充実した響きが最高です。
往年のアメリカ「ビッグ5」の中で最もフランス的な響きを持っていたのは、意外にもオーマンディ時代のフィラデルフィア管だと思います。オーケストラの上手さは勿論ですが、色彩感や語り口がよく、フランスの味わいがよく出ています。
クリーヴランド管はセル時代はあまりフランス音楽の演奏には熱心ではありませんでしたが、セル時代に鍛え上げられた強靭なアンサンブルは、後にピエール・ブーレーズによるラヴェル録音でフルに機能し、ブーレーズの精緻に読み込まれ分析されたスコア捌きを十二分に表現することになりました。2つのピアノ協奏曲におけるツィメルマンとのコラボレーションが素晴らしいです。
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一方、室内楽・器楽曲では俄然フランス組が素晴らしいですが、ここでは精緻なアンサンブルを誇るボロディン・クヮルテットの「弦楽四重奏曲」と、トリオ・フォントネーの「ピアノ三重奏曲」を。
ピアノ曲はやはりサンソン・フランソワです。「夜のガスパール」「鏡」「クープラン氏のトンボー」の3大組曲のめくるめく閃き、「ソナチネ」「古風なミヌエ」の新古典主義の極み。

ラヴェルの歌曲は、フォーレやドビュッシーやプーランクと違い、オーケストラや室内楽とのコラボレーションが多いのが特徴的です。また、異国情緒を前面に押し出した歌が多いのもラヴェルならではの特徴です。「シェヘラザード」「5つのギリシャ民謡」「マダガスカル島民の唄」など異国の風薫る作品を楽しみましょう♪
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by borituba | 2017-03-07 22:07 | おんがく | Comments(0)