カテゴリ:おんがく( 48 )

吹奏楽は20世紀に入り飛躍的にレパートリーが広がりました。オリジナル作品も数多く作られるようになり、それにつれて使用する楽器が増えました。なかでも打楽器は「叩くと音の出る」ものは全て楽器として使われるようになりました。皮、木、金属、プラスチック、その他ありとあらゆる素材が使われます。さらに鍵盤系の楽器、ピアノやチェレスタなどは吹奏楽では打楽器の持ち場になることが多いようです。
そんな中でも、今でも基本になるのは「ばちで皮を叩く」太鼓類です。ティンパニはオーケストラのサウンド創りに重要なファクターとなります。ばちの選択、ヘッド(皮)の材質などでそのサウンドは大きく変わります。もともとは銅製の大鍋に皮をかぶせて叩いたのがきっかけといわれ(異説もありますが)、ケットル(鍋)ドラムといわれていました。古楽オーケストラでは本皮のヘッド(牛皮か羊皮)を使います。画像は現代のペダル式ティンパニで、ヘッドはプラスチック製ですが、奏者によっては本皮を愛用している人もいます。ウィーン・フィルではティンパニだけでなく、大太鼓、小太鼓も本皮を使用(牛皮と羊皮を併用)しています。ティンパニはペダル式の一つ前のハンドル式で、音を変えるときにはハンドルをグルグルと回します。叩きながら音を変える必要のある現代曲をやる時は奏者の横に「ハンドル係」を配置します。
通常は古典曲では2台、近代曲でも多くて4台で一組になるティンパニですが、今回の「惑星」では6台使用します。奏者も一人では足りず、二人で演奏します。第6曲「天王星」では複雑に絡むティンパニのアンサンブルが「見どころ」です。是非ホールでご覧ください。
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2005.8.13 合宿所合奏場にて
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by borituba | 2005-08-23 21:06 | おんがく | Comments(0)

今日はトロンボーンをご紹介します。
トロンボーンは、古くから教会で使われていた楽器で、原型はルネサンス期にまで遡ることができます。現在でも金管アンサンブルの重要なレパートリーになっているガブリエリの作品などは、すべてミサのコーラスと説教をつなぐ間奏として作られたものです。
なぜトロンボーンが教会で重用されたか?管楽器の中でトロンボーンは最も人声に近いとされ、ミサ曲やオラトリオの中で、「神の声」あるいは「神との邂逅」を表す記号として使われました。当時音楽に限らず芸術において「宗教と世俗」には厳密な区別があり、宗教的な題材を世俗に持ち込んだり、またその逆は厳しく戒められていました(ワーグナーの「タンホイザー」や「ニュルンベルクのマイスタージンガー」では、その戒めを破ったり、規則を守る苦心などが物語の重要なファクターになっています)。そのため、トロンボーンは「聖職者の楽器」などと呼ばれ、世俗曲への使用は禁じられていました。
ハイドンは「十字架上の七つの言葉」やオラトリオ「天地創造」などで、モーツァルトは「ハ短調ミサ曲」や「レクィエム」など宗教曲ではトロンボーンを使っていますが、あれほどたくさん書いた交響曲には一曲もトロンボーンを使っていません。それは「使いたくても使えなかったから」なのです。それを打ち破ったのがベートーヴェン。第5交響曲「運命」で3本のトロンボーンを使い、初演時には物議を醸したのです。後の第9交響曲では、「百万の民よ、抱き合え!」というコラールのバックに荘重なアンサンブルを聞かせますが、本来の使い方にベートーヴェンが「立ち帰った」瞬間といえるでしょうか。
以来、トロンボーンはオーケストラに取り入れられ、金管楽器の中で中低音の要として大活躍することになります。軍楽隊、聖歌隊(!)経由でジャズにも入り、ビッグバンドの花形へと発展します。
吹奏楽ではもちろん金管の中低音を支えるほか、ポップス、クラシックを問わず主役、脇役と大活躍します。ソロだけでなく、アンサンブルとしても通常テナー(テナーバス・画像右)2本とバストロンボーン(画像左)1本でトリオを成し、教会出身らしい荘重な和音を響かせます。また、テナー3+バス1のクァルテットは非常にバランスが良く、金管アンサンブルの定番になっています。
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2005.8.13 合宿所合奏場にて
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by borituba | 2005-08-22 21:02 | おんがく | Comments(0)

フルートを除く木管楽器はクラリネット、サクソフォンの「シングルリード」と今日ご紹介する「ダブルリード」に大きく分かれます。ダブルリード属は、2枚のリードを合わせて根元を固定し、コルクを差したものを楽器に取り付けて吹きます。原理としては、笹笛や葦笛と同じです。シングルリード属との違いは、基本的にこのリードを自分で作るところにあります。初心者やアマチュアの場合完成品を買って来たり、師匠に作ってもらったりすることもありますが、プロの奏者は自分で作るのが普通で、アマチュアでも凝り性の人は自分で作り、「趣味はリード作り」という人も少なくありません。名人になるとプロにリードを供給する人もいます。
画像上のオーボエは、オーケストラではチューニングの要として、その音色をも支配する重要なパートですが、吹奏楽に取り入れられたのは比較的新しく、日本では戦後になってから、といってよいでしょう。軍楽隊主導で普及していった歴史を持つ日本の吹奏楽(日本の管楽器の草分けの人のなかには軍楽隊出身者がたくさんいます)では、管楽器の中では繊細な方に属するダブルリード属は野外行進には不向きで、戦後、吹奏楽コンクールが主導で普及が図られるようになって、レパートリーの拡大と共にダブルリードが取り入れられるようになりました。
ダブルリード属は、木管楽器の中では、横笛(フルート)と共に古い歴史を持っています。画像下のファゴットも、バッハの時代にはすでに形が完成され、ハイドン・モーツァルトの時代には管楽器の花形として活躍、協奏曲や独奏曲が数多く作られました。さらに低い音域を担当するコントラファゴットも、ベートーヴェンの時代には完成されていて、「第九」などで活躍します。その後、一時脇役に追いやられますが(シューマンやブルックナーの交響曲ではソロすらほとんどなく、曲の規模に比べて「つまらない」といわれています)、20世紀に入り、マーラー、ストラヴィンスキー、ラヴェル、ショスタコーヴィチなど大作曲家がファゴットに重要な役割を与えるようになり(ストラヴィンスキー「春の祭典」や、マーラー、ショスタコーヴィチの交響曲など。ラヴェルは「マ・メール・ロワ」や「左手のためのピアノ協奏曲」でコントラファゴットにまで重要なソロを書いています)、「主役」の座に返り咲きました。
今回の「惑星」では、オーボエ、ファゴットの他、コールアングレとコントラファゴットが使われます。当日ホールでダブルリード属の活躍をどうぞご覧ください。
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2005.8.13 合宿所合奏場にて
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by borituba | 2005-08-21 22:43 | おんがく | Comments(1)

トランペットの仲間たちです。トランペットにこんなに種類があるとは思わないでしょう。今回は3種類の楽器を使います。
左はB♭管です。吹奏楽、ジャズで普通トランペットというとこの楽器になります。太く落ち着いた音色が特徴で、吹奏楽では金管のサウンドを左右する重要なポジションでもあります。
右はC管です。ジャズでは全く、吹奏楽でもあまり使われませんが、オーケストラでは一般的に使われます。ドイツ・オーストリア系の音楽ではピストンでなくロータリーバルブの楽器(いわゆる「ドイツ管」)が使われます。B♭管に比べしなやかで明るく輝かしい音色が特徴です。
中はフリューゲルホルンといいます。トランペットに比べ音が柔らかくなめらかなのが特徴で、ジャズでは主にバラード系の曲で使われます。この楽器の音に魅せられて専門家になってしまったジャズメンも、アート・ファーマーをはじめ少なくありません。吹奏楽でもゆったりした曲や弦楽器のソロを吹く時に使われることが多く、活躍の機会は多いです。今回の「惑星」では、弦楽器のパートで活躍、その柔らかい音色をフルに活用しています。
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2005.8.13 合宿所合奏場にて
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by borituba | 2005-08-19 20:51 | おんがく | Comments(0)

クラリネットは、吹奏楽ではアンサンブルの中心といっていい楽器です。オーケストラではチューニングのときはコンサートマスターがオーボエからAの音をもらって合わせていきますが、吹奏楽では概ねクラリネット(アルトサックスの場合もあります)がB♭を出して合わせます。
クラリネットは、クラリーノという木製のラッパが原型といわれ、かつてはリコーダーとおなじく柔らか目の木でつくられていました。現在のようにグラナディラや黒檀のような堅い木で作られるようになったのは18世紀末から19世紀になってからで、同時にキーの数も増えて音域が広がり、楽器の調性も整理されていきました。
現在、クラリネット属は高い順にE♭管(画像右)、B♭管(画像左)、A管(オーケストラで古くから使われている管で、古典曲には欠かせない。また、近代曲では持ち替えも行なう)、アルト(アンサンブルでよく使われる)、バス(画像下)が主に使われます。他にバセットホルン(モーツァルトの時代に開発され、管楽合奏曲に使用される)、コントラアルト、コントラバス(吹奏楽では最近よく使われるようになりました)、超高域を担当するA♭管などがあります。
E♭管は比較的近代、といってもベルリオーズの時代になって導入され、「幻想交響曲」で活躍するほか、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」などフランスの近代曲でよく使われます。ロマン派音楽が極限まで肥大化したドイツではマーラーの交響曲やシェーンベルクの初期の作品などで使われるようになり、おもに「金切り声」のような刺激的な表現に用いられます。
B♭管は吹奏楽のアンサンブルの根幹をなす楽器で、現在、クラリネットを始める人たちが初めて手にする楽器であり、クラリネット属の基本となる楽器です。
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2005.8.13 合宿所合奏場にて
バスクラリネットは、ワーグナーの時代に開発され、オーケストラの音域の拡大、音色の多様化に貢献しました。マーラーの交響曲で大いに使われ、20世紀に入り、ストラヴィンスキーの「春の祭典」では2本も使われています(重要な部分で2本のアンサンブルが用いられています)。また、ショスタコーヴィチの交響曲ではソロにアンサンブルにと大活躍します。吹奏楽でも木管の低音部の要として活躍します。
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2005.8.13 合宿所合奏場にて
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by borituba | 2005-08-18 22:23 | おんがく | Comments(0)

吹奏楽独特といっていい楽器をご紹介しましょう。
吹奏楽では(当然ですが)弦楽器がないため、オーケストラの管楽器だけでは中音域がどうしても貧弱になります。弦楽器でいうと、ヴィオラやチェロにあたる部分です。そこで、中音域を補強するための楽器が開発されました。木管ではサキソフォン。金管では今日ご紹介するユーフォニアムとその仲間たちです。
右のユーフォニアムは、非常に音域の広い楽器で、ほぼヴィオラとチェロの音域をカバーしています。吹奏楽ではオリジナル作品と並んでオーケストラ曲の編曲作品も重要なレパートリーですが、ユーフォニアムはソロ(チェロのソロはほとんど回ってきます)、アンサンブル(コントラバス=テューバと、またホルンと組むことが多く、相性も良いです)と大活躍します。オーケストラではほとんど使われることはなく(テナーテューバの代用として使われることはありますが)、ほぼ吹奏楽独特の楽器と言ってよい楽器です。
中はテナーテューバです。ユーフォニアムが非常に重宝な楽器のため、吹奏楽ではほとんど使われませんが、今回の「惑星」は、原曲(オーケストラ)に指定された管楽器のパートを全て演奏するため、テナーテューバにお呼びがかかりました。オーケストラでは特殊な音色がほしい時に使われることが多く、リヒャルト・シュトラウスの「ドン・キホーテ」「英雄の生涯」、マーラーの交響曲第7番「夜の歌」、ムソルグスキー(ラヴェル編)の「展覧会の絵」などで起用されています。もちろん、「惑星」でも「火星」「木星」「天王星」などで活躍しています。ぜひ芸術劇場のステージでご覧下さい。
左はバリトン(ホルン)といいます。ユーフォニアム以上に吹奏楽、わけても英国式のブラスバンド(イギリスでは「ブラスバンド」というと「(英国式)金管バンド」を指します。日本で「ブラスバンド」と呼んでいる吹奏楽のことは単に「バンド」ないし「ミリタリー・バンド」などと呼びます)独特の楽器です。英国式ブラスバンドは、(フレンチ)ホルンを使用せず、コルネットをはじめとするサクソルン属(サクソフォンを開発したアドルフ・サックスが開発した円錐管を使った金管楽器)を用いた独特のスタイルで、コルネットがソプラノに相当し、以下アルト、テナー、バリトン、バスと分かれたサクソルン属に加え、ユーフォニアム、トロンボーン、打楽器で構成されています。バリトンはユーフォニアムの音域から中音域を取り出した楽器と思っていたただければよいでしょう。今回の「惑星」では、ユーフォニアムと共に弦楽器(ヴィオラ・チェロ)のパートを担当します。
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2005.8.13 合宿所合奏場にて
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by borituba | 2005-08-16 12:11 | おんがく | Comments(0)

フルートの仲間は、木管楽器の中で唯一リードを用いない楽器です。他の楽器が葦の茎を乾燥させたリードをマウスピースに取り付けて音を出すのに対し、フルート属は唇の振動をマウスピースで増幅させて(難しく言うと「カルマン渦」という理論だそうですが)音を出します。
フルートに限らず、管楽器は19世紀後半の産業革命を経て、飛躍的に発展しました。木工はもちろん、金属加工の技術が長足の進歩を遂げ、それによって管楽器はその音域を大幅に拡大することが可能になりました。
今回の30周年記念演奏会では3種類のフルートが活躍します。まず、下のピッコロは、管楽器の中で最も高い音域を受け持ちます。フルート属は現在、木管楽器でありながらほとんど金属製が主流になっていますが、ピッコロは木製の管が今でも主流になっています。他のフルートが直管(内部もまっすぐな管)であるのに対し、ピッコロは最高音域の音程を安定させるために、頭部管(唄口のある方)から管の内部が広がって円錐状になっているのが特徴です。オーケストラでも管楽器の「斬り込み隊長」として(3管編成の大オーケストラとたった1本で渡り合うこともしばしばです)、「惑星」の「火星」のような激しい音楽から、鳥のさえずりや歓びの表現など、やわらかな音楽まで、小さい楽器ながらその表現力の幅は意外なほど広いのです。ベートーヴェンの「第九」第4楽章の「歓喜の行進曲」、オネゲルの交響曲第3番「典礼風」のラストでの平和の祈りをこめたソロ、マーラーの「大地の歌」の第5楽章でテノール独唱と絡むソロ、ショスタコーヴィチの交響曲での挑発的で過激な表現などが印象的です。
中の「普通の」フルートは、古代から発音の原理が変わらないため、バッハの昔から現在まで、オーケストラ、そして吹奏楽の花形として活躍しています。吹奏楽では、ソロ・パートだけでなく、アンサンブルとしても重要な役割を担っています。
上はアルト・フルートです。フルート属には現在ではコントラバス・フルートまで存在します(手だけでは楽器を支えられないので、杖のような棒が付いていて、それを床に立てて構えます)が、普通のオーケストラでは概ねこのアルト・フルートがフルート属の最低音域を受け持ちます(20世紀初頭には「バス・フルート」と呼ばれていたようです)。今回の演奏会では、第1部の「シンフォニエッタ」でも第2部の「惑星」でもアルト・フルートを使用します。オーケストラでは、ストラヴィンスキーの「春の祭典」で大活躍するほか、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」の「無言劇(第2組曲第2曲)」の長大なフルート・ソロの最後を締めるのはピッコロの最高音からアルトの最低音に至る壮大な半音階の急降下の後の印象的なアルトのつぶやきです。
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2005.8.13 合宿所合奏場にて
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by borituba | 2005-08-15 23:49 | おんがく | Comments(0)

私は13歳から吹奏楽をやっています。始めてから四半世紀を越え、人生の3分の2以上を吹奏楽と共に過ごしてきたことになります。その間、全国大会や海外演奏旅行など、貴重な経験をさせてもらいました。
私が参加している「豊島区吹奏楽団」は今年創立30周年を迎えました。大学時代の4年間を除き、約20年をほぼこの楽団一筋で吹奏楽生活を過ごしています。春と秋の定期公演、夏のコンクールはもはや年中行事になっています。
定期公演に備えて、一ヶ月ほど前には合宿をします。これももう年中行事。例年関東近県へ行き、4日間みっちりと練習を積みます。今年は11日から14日まで秩父へ行ってきました。
今日からシリーズで吹奏楽の楽器をご紹介していきます。まずご紹介するのは吹奏楽で一番安い「楽器(?)」です。といっても、それ自体は音をだすことはありません。その楽器の名は「指揮棒」。画像は楽団の常任指揮者のものです。指揮棒は概ね20~30cm、材質は木、グラスファイバーなどで、握りはコルクが多いようです。指揮者にとってはこの握りが最も好みが分かれるところで、丸型で手のひら全体で握るタイプや細長く指でつまんで持つタイプなど、さまざまな形があります。
楽器屋などで売っている指揮棒は1,000円から2,000円くらい。演奏に使う道具としては最も安い部類になります。こだわりのない人は100円ショップで買ってきた菜箸に握りをつけて使っていたりします。また、棒を持たずに素手で指揮をする人もおり、そういう指揮者にとっては経費は「ゼロ」になるわけですが…
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2005.8.13 合宿所合奏室にて
指揮棒のバックは今回「創立30周年記念定期公演で演奏するホルスト作曲の組曲「惑星」のフルスコア(総譜)です。第4曲「木星」は昨年平原綾香の歌で大ヒットした「Jupiter」の原曲です。実は指揮者にとっては棒よりもこのスコアのほうが重要な「楽器」と言えます。多くの指揮者は「自分のスコア」を持っていて、書き込みで真っ赤になっています。ひところはピアニストやヴァイオリニストのように本番ではスコアを見ない「暗譜」が主流でしたが、近年の若い指揮者の間では、スコアを見ながら指揮をするスタイルが復活してきています。
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by borituba | 2005-08-14 23:41 | おんがく | Comments(0)