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今日はスラーヴァことムスティスラフ・ロストロポーヴィチ御大の命日です。今日はスクリャービンとメシアンの命日でもありますが、日本と日本人を愛し、またご縁の深い御大を偲ぶ鑑賞に専念したことです。

偉大なチェリストとして、また指揮者としての活躍はもちろんですが、小澤征爾さんとの交流をきっかけとして大の親日家で、ほぼ毎年のように来日してチェリスト、指揮者共にたくさんの公演を行いました。そのためロシアの巨匠の中では飛び抜けて日本人に馴染みが深く、あっしも新日本フィルの公演で何度も聴いています。

そのため御大の来日公演の思い出がたくさんあります。
ブリテンが夫人のヴィシネフスカヤさんを想定して書いた「戦争レクィエム」。すみだトリフォニーホールのこけら落としシリーズで、東京大空襲で多くの犠牲者を出した墨田区ということであえてレクィエムを演奏したのです。

奇しくも阪神・淡路大震災の翌日、サントリーホールで行われたN響と小澤征爾さんの歴史的和解コンサート。ドヴォルジャークの協奏曲のソリストとして出演していた御大が、アンコールで拍手を辞退して弾いたバッハ。

生涯最後のステージとなった新日本フィルの定期公演。ショスタコーヴィチの交響曲第8番の終演後、いとおしそうにスコアを抱き締めた御大。

テレビでのインタビューが縁で、平和への想いを一にしていた筑紫哲也さんとは親友で、御大の公演のとき、オーチャードホールやサントリーホールのロビーでお見かけしました。

日本が大好きだった御大。わけても相撲が大好きで、新日本フィルの公演は両国国技館の場所に合わせて1月か5月に設定されていました。

御大の発案によりロンドンと東京で行われたコンサート・バレエプロジェクト「ロメオとジュリエット」。東京公演は新日本フィルが起用されましたが、公演の前日に、トリフォニーホールこけら落としシリーズのR.シュトラウス「ドン・キホーテ」(小澤さん指揮)で共演したヴィオラ首席の白尾偕子さんが急逝、異様な空気の中の公演が忘れられません。翌々日の葬儀に参列した御大は弔辞の代わりに阪神・淡路大震災のときと同じバッハを献奏したそうです。

御大が遺されたバッハの録音は敬愛するパウ・カザルスのそれと同じく「祈りの音楽」です。技術論でいえば必ずしも名盤ではないのかもしれませんが、平和への祈りの音楽としてこれ以上のものはありません。世界中で戦火が絶えず、日本の周りもきな臭くなりつつある今、御大の命日を機縁として、平和への想いをこめて味わいたいものです。…合掌。

今日聴いた音盤
プロコフィエフ:
交響曲第5・7番
フランス国立管弦楽団
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チャイコフスキー:
交響曲第1番「冬の白昼夢」
交響曲第2番「小ロシア」
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
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ショスタコーヴィチ:
チェロ・ソナタ
ベンジャミン・ブリテン(ピアノ)
チェロ協奏曲第1番
フィラデルフィア管弦楽団
ユージン・オーマンディ(指揮)
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J.S.バッハ:
無伴奏チェロ組曲第2番ニ短調 BWV.1008
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by borituba | 2017-04-27 23:15 | おんがく | Comments(0)

今日は20世紀前半のパリを拠点にセンセーショナルな芸術運動を展開したセルゲイ・ディアギレフの誕生日です。

ディアギレフは当初はロシアの芸術文化を西欧に紹介するために絵画展やバレエ公演のプロデュースをしていましたが、やがてバレエに特化して、ロシアのバレエの伝統をベースにした新しいバレエ作品の創造をめざして「バレエ・リュッス」を組織し、当時もっとも先鋭的だった作曲家や画家やデザイナーたちに作品を創らせて、バレエを総合芸術として定着させました。
ディアギレフがプロデュースして創られたバレエ音楽の多くは作曲家の代表作として現代でも頻繁に上演される傑作です。また、リムスキー=コルサコフの「シェヘラザード」やドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」など、既存の音楽作品を用いた新しいバレエ作品も数多く創造しました。
今宵はそんな中でも傑作中の傑作の数々を聴いております♪

イゴール・ストラヴィンスキー:
「火の鳥」(1910年全曲)
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「ペトリューシュカ」(1911年原典版)
ニューヨーク・フィルハーモニック
「春の祭典」
クリーヴランド管弦楽団
ピエール・ブーレーズ(指揮)
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モーリス・ラヴェル:
「ダフニスとクロエ」(全曲)
ルネ・デュクロ合唱団
パリ音楽院管弦楽団
アンドレ・クリュイタンス(指揮)
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「ラ・ヴァルス」
(ディアギレフはこの曲はバレエにできないと突っ返したが、バレエ・リュッスのために創られた)
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マヌエル・デ・ファリャ:
「三角帽子」
テレサ・ベルガンサ(メゾソブラノ)
スイス・ロマンド管弦楽団
エルネスト・アンセルメ(指揮)
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クロード・アシル・ドビュッシー:
「遊戯」
「牧神の午後への前奏曲」
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フローラン・シュミット:
「サロメの悲劇」Op.50
フランス国立放送女声合唱団
フランス国立放送管弦楽団ジャン・マルティノン(指揮)
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フランシス・プーランク:
「牝鹿」(全曲)
アンブロジアン・シンガーズ
フィルハーモニア管弦楽団
ジョルジュ・プレートル(指揮)
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ニコライ・リムスキー=コルサコフ:
交響組曲「シェヘラザード」Op.35
キーロフ劇場管弦楽団
セルゲイ・レヴィーチン(ヴァイオリン)
ヴァレリー・ゲルギエフ(指揮)
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by borituba | 2017-03-31 21:35 | おんがく | Comments(0)

今日3月28日はラフマニノフ忌です。

不思議に日本人に人気の高いラフマニノフ。やはり美メロのてんこ盛りのロマン味が愛されているわけですが、あっしは実はそのあたりが苦手でして、好きな録音はあまりロシア味やロマン味を強調しないクールな演奏を好んで聴いています。

特にピアノ協奏曲はヴィルトゥオーゾ系より手堅いビターチョコのような「大人のラフマニノフ」が好きで、ティボーデとレーゼルをもっぱら愛聴しています。
ピアノ協奏曲第2番はラフマニノフの代名詞のような作品ですが、実はピアノ協奏曲としてはかなり異形な作品なのです。全体を通してメロディや主題より伴奏音形を弾くことが多く、ピアノとオーケストラの主従が逆転しているのです。病み上がりの作品ということでヴィルトゥオジティの表現がかなり慎重になっているのでしょう。カデンツがないのも特異な特徴です。ピアノ協奏曲というよりピアノつき交響曲という印象です。
その反動か、次の第3番では主従がピアノ主導に戻って、長大で超絶技巧のカデンツも復活。協奏曲の中にピアノ・ソナタが1曲入っているかのような印象です。多分ピアニスト・ラフマニノフとしても全盛期の作品なのでしょう。
そのせいか、ヴィルトゥオーゾ系のピアニストで第2番を弾かない人もいます(ホロヴィッツとアルゲリッチが代表者)。

ピアノ協奏曲全集
ジャン=イヴ・ティボーデ(ピアノ)
クリーヴランド管弦楽団
ウラディーミル・アシュケナージ(指揮)
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ペーター・レーゼル(ピアノ)
ベルリン交響楽団(旧東ドイツ、現:ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団)
クルト・ザンデルリンク(指揮)
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近年、日本でもよく演奏されるようになり、人気曲の仲間入りした交響曲第2番は、チャイコフスキーの第5交響曲とならぶロシア・ロマン主義音楽の精華と言えるでしょう。ザンデルリンクがフィルハーモニア管から濃厚なロシア味を引き出した素晴らしい演奏を聴きます。録音もよくお薦めします。
交響曲第2番ホ短調 Op.27
フィルハーモニア管弦楽団
クルト・ザンデルリンク(指揮)
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ラフマニノフは革命を嫌ってアメリカに亡命、ピアノ協奏曲第4番などを発表しますが、ロシア味が後退してあまり評価されず不遇な晩年を送ります。最晩年になって望郷の想いから濃厚なロシア味が復活、同時に死期を悟ったかのようにグレゴリオ聖歌の「怒りの日」を採り入れた作品を書き、作曲家人生を締めくくります。
それが「パガニーニの主題による狂詩曲」と「交響的舞曲」です。前者はピアノとオーケストラ、後者は管弦楽の曲ですが、いずれも協奏曲第5番、交響曲第4番と言ってもおかしくない力作で、交響的舞曲は近年演奏会に出るようになり、吹奏楽の世界では編曲版がコンクールや演奏会の屈指の大ネタとしてよく出ます。ラトル/ベルリンの録音をよく聴きます。
交響的舞曲
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
サー・サイモン・ラトル(指揮)
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指揮者としては突っ込みどころの多いアシュケナージですが、ラフマニノフのピアノ曲の演奏は非の打ち所のない名演です。特に24曲の前奏曲は素晴らしいです♪
前奏曲嬰ハ短調 Op.3-2
10の前奏曲 Op.23
13の前奏曲 Op.32
ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)
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by borituba | 2017-03-28 22:45 | おんがく | Comments(0)

今日はドビュッシー忌と同時にバルトークの誕生日です。

ということで、朝からドビュッシーとバルトークを聴いております。
思えばバルトークはロマン主義音楽からスタートしたあと(ヨアヒムの書生をしていたころの習作はまんまブラームス)、ドビュッシーに影響を受け、コダーイと共に集めたハンガリーやルーマニアの民族音楽を素材とした印象主義的な作品で世に出ました。
そんな二人が命日と誕生日という関係でつながっているとは。なんだか奇しき因縁を感じます。

ドビュッシーもバルトークもラヴェル同様聴き倒しているので、今日はバルトークはドビュッシーの影響の色濃い作品を、ドビュッシーはその元になった作品を中心に聴きました。

ドビュッシー:「海」「牧神の午後への前奏曲」「管弦楽のための映像」「夜想曲」
クリーヴランド管弦楽団
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バルトーク:
バレエ音楽「不死身の宦官」、管弦楽のための4つの小品、2つの映像、5つのハンガリーのスケッチ
シカゴ交響楽団
ピアノ協奏曲第3番
エレーヌ・グリモー(ピアノ)
ロンドン交響楽団
ピエール・ブーレーズ(指揮)
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バルトーク:
「3つのチーク県の民謡」「ルーマニア民俗舞曲」
廻由美子(ピアノ)
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「ルーマニア民俗舞曲(管弦楽版)」
シカゴ交響楽団
サー・ゲオルク・ショルティ(指揮)
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ドビュッシー:
「レントよりおそく」
前奏曲集 第1巻
版画
ピアノのために
ベルガマスク組曲
ジャック・フェヴリエ(ピアノ)
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弦楽四重奏曲
ボロディン弦楽四重奏団
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バルトーク:
弦楽四重奏曲(全6曲)
ハンガリー弦楽四重奏団
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中でもバルトークの弦楽四重奏曲はハンガリーの奏者による演奏は他の団体と一味違うマジャール人の感性がにじみ出て目から鱗の落ちるような新鮮な発見があり、今まで弦楽四重奏が苦手で敬遠していましたが、全6曲を楽しく一気に聴くことができました♪
by borituba | 2017-03-25 23:10 | おんがく | Comments(0)

昨日に引き続き

昨日に引き続きオーマンディとフィラデルフィアのベートーヴェンを聴いております。
昨日聴いた7番と8番が想像をはるかに上回る素晴らしい演奏だったので、今宵は1~6番を一気に聴いておりますが、昨日の2曲同様素晴らしいです。
基本的に終始イン・テンポで、音楽が自然に流れていくのが非常に心地よいです。それに加えフィラデルフィアの持ち味である芳醇なオーケストラ・サウンド。

20世紀後半に特にアメリカで活躍したハンガリー出身の指揮者たち。ライナー、セル、ショルティ、そしてオーマンディ。すべてベートーヴェンを演奏していますが、共通しているのはイン・テンポということ。と言っても昨今のあっさり味の低カロリーではありません。
そしてダイナミク・レンジが幅広くコントラストがくっきりしていること。
さらに気品というか、古典音楽としての品位を決して忘れない引き締まった表現。

そんな共通項を思いつつオーマンディのベートーヴェンを聴いていると、ユージン・オーマンディという指揮者の本質を我々がいかに誤解してきたかがわかるのです。

例えば第5番。フルトヴェングラーやクナッパーツブッシュとは対照的に、譜面を忠実にトレースするような演奏です。それをオーケストラの持ち味の明るく芳醇なサウンドであくまで自然に音楽が流れていきます。それはあたかも名優の朗読する大河小説のような心地よい響きです。
例えば第6番「田園」。これはオーマンディとフィラデルフィアの持ち味に一番合った作品であるだけに、ヴィーン・フィルに勝るとも劣らぬ名演です。各楽章の性格が明確で血の通った豊かな響きで流れていきます。

1・2・4・8の4曲はベートーヴェンのもう一つの顔である、先輩モーツァルトから受け継いだディヴェルティメント性が十二分に表現されたチャーミングと言ってもいいご機嫌な演奏です。
第3番「英雄」。2番や4番を聴いても感じることですが、なんと若々しい元気な演奏でしょう。第2楽章の葬送行進曲ももたれることのない淡々とした自然な流れが却って悲劇的に胸に沁みます。そして全曲にみなぎる気品。

いろいろ書きましたが、百聞は一聴に如かず。騙されたと思ってぜひ一度お聴きください。オススメします。
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by borituba | 2017-03-13 22:53 | おんがく | Comments(0)

今日はユージン・オーマンディ忌です。

連日のお祈り疲れで今日はぐったりしていましたが、大好きなオーマンディの命日ということで、少し聴きました。
両盤とも演奏はユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団。

ベートーヴェン:
交響曲第7番イ長調 Op.92
交響曲第8番ヘ長調 Op.93
オーマンディのベートーヴェンやブラームスは実に美しい演奏です。そして若々しさがあります。基本に忠実に折り目正しいイン・テンポ。フィラデルフィアの芳醇なオーケストラ・サウンドと手堅いアンサンブルの素晴らしさ。世評高いヨーロッパの巨匠たちの録音に決してひけをとらない素晴らしいベートーヴェンです。第8番のディヴェルティメントな味わいが最高です♪
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チャイコフスキー:
交響曲第4番ヘ短調 Op.36
弦楽セレナードハ長調 Op.48
オーマンディの十八番といえばやはりチャイコフスキーでしょう。三大バレエやマンフレッド交響曲などたくさんの名盤にはずいぶんお世話になりました。今宵はその中から弦の響きが素晴らしい2曲を楽しみます。交響曲第4番では名人揃いの耀かしい管楽器も素晴らしいです♪
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by borituba | 2017-03-12 20:28 | おんがく | Comments(0)

今日から明日への二枚

今日3月10日はアルチュール・オネゲルの誕生日ですが、日本人にとっては今日3月10日と明日3月11日は忘れてはならない惨禍の日です。

フランス音楽に心寄せる者としてはオネゲルの誕生日を祝いたいところではありますが、時空を超えて多くの罪なき人々が数時間のうちに命を落とした日でもあるこの日にはとてもそのような気分にはならないのです。

オネゲルは第二次大戦でナチス・ドイツに蹂躙されたフランスで、他国への亡命をせず、「六人組」の仲間で親友だったフランシス・プーランクや指揮者シャルル・ミュンシュらと共に芸術のレジスタンス運動に身を投じて、フランス国内を転々としながら戦争の犠牲者の鎮魂と平和の祈りを込めた作品を書きました。
それらの作品はフランスの、というだけでなく、あらゆる惨禍による犠牲者の鎮魂と平和への希望を込めた普遍的な祈りの音楽であると思います。

今宵はそんな中から3つの作品を選びました。
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交響曲第2番(弦楽とトランペットのための)
交響曲第3番「典礼風」
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

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劇的オラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」
台本:ポール・クローデル
ネリー・ボルジョー、ミシェル・ファヴォリ(語り)他
チェコ・フィルハーモニー合唱団
キューン児童合唱団
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

セルジュ・ボド(指揮)

オネゲルの5曲の交響曲のうち、大戦中に書かれた第2番と第3番は、まさしく「戦争交響曲」と言ってよく、暗く重苦しい音楽は戦争の悲惨な現実と死者への慟哭を描き、いずれも最後は平和への希望と祈りに満ちた穏やかな音楽となって終わります。

「火刑台上のジャンヌ・ダルク」は、当初舞踊詩として構想されましたが、フランスに戦火が忍び寄る中、当時フランスを代表する詩人で優れた外交官でもあったポール・クローデルが台本を創り、古今のフランスの芸術を取り入れた語り、歌い、奏でる総合的な音楽劇に仕上げた大作で、結果的には戦火による荒廃からの復活と平和への祈りの「芸術のレジスタンス」を象徴する作品となりました。

これらの録音が、かつて同じようにナチス・ドイツに蹂躙され、破壊され、後に今度は北からの戦車に蹂躙されたチェコで成されたことは、オネゲルが作品に込めた平和への祈りが普遍的なものであることを象徴していると思います。

…合掌。
by borituba | 2017-03-10 23:59 | おんがく | Comments(0)

今日はモーリス・ラヴェルの誕生日です♪

そこで手持ちの音源を引っ張り出して聴いてみることにしましたが、ラヴェルの作品は日頃から聴き倒しているので、こういう特別な機会には変わった聴き方をしてみようか、ということで、先日のショパンの誕生日にやったように、フランスにこだわらずに多国籍な音源でラヴェルの世界を楽しもうということにしました。
まずは管弦楽。「ダフニスとクロエ」はあっしが一番好きなラヴェルですが、今日はクリュイタンスやミュンシュを措いて、ラヴェルに私淑していて実はフランス音楽巧者だったバーンスタインと、実は昨日が誕生日、なんと今日が命日というキリル・コンドラーシンの全曲版の録音を聴いてみました。どちらもスケールの大きな、そして美しい演奏です。
三顧の礼で迎えたミュンシュがわずか2年で世を去られてしまい、シェフ不在となったパリ管を、カラヤンが一年だけ面倒を見たことがあり、カラヤンとしては異色の録音をいくつか遺しました。その中にラヴェルの作品があります。「道化師のアルボラーダ」「スペイン狂詩曲」「クープラン氏のトンボー」「ラ・ヴァルス」…いずれもカラヤンの唯一の録音ですが、意外にもこれが素晴らしい。20世紀音楽では新古典主義と一番ウマが合ったカラヤンの精緻な指揮がラヴェルのスコアの緻密な美しさを存分に引き出しています。特に「クープラン氏のトンボー」と「ラ・ヴァルス」が圧巻です。
アメリカのオーケストラは機動力と表現力に優れているので、ラヴェルの緻密なアンサンブルの表現に向いていると思います。ジャン・マルティノンがシカゴ時代に録音したラヴェルは、後にパリ管と録音した全集を凌ぐ水際だった素晴らしい演奏です。何と言ってもオーケストラが上手いです。「ダフニスとクロエ」第2組曲の充実した響きが最高です。
往年のアメリカ「ビッグ5」の中で最もフランス的な響きを持っていたのは、意外にもオーマンディ時代のフィラデルフィア管だと思います。オーケストラの上手さは勿論ですが、色彩感や語り口がよく、フランスの味わいがよく出ています。
クリーヴランド管はセル時代はあまりフランス音楽の演奏には熱心ではありませんでしたが、セル時代に鍛え上げられた強靭なアンサンブルは、後にピエール・ブーレーズによるラヴェル録音でフルに機能し、ブーレーズの精緻に読み込まれ分析されたスコア捌きを十二分に表現することになりました。2つのピアノ協奏曲におけるツィメルマンとのコラボレーションが素晴らしいです。
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一方、室内楽・器楽曲では俄然フランス組が素晴らしいですが、ここでは精緻なアンサンブルを誇るボロディン・クヮルテットの「弦楽四重奏曲」と、トリオ・フォントネーの「ピアノ三重奏曲」を。
ピアノ曲はやはりサンソン・フランソワです。「夜のガスパール」「鏡」「クープラン氏のトンボー」の3大組曲のめくるめく閃き、「ソナチネ」「古風なミヌエ」の新古典主義の極み。

ラヴェルの歌曲は、フォーレやドビュッシーやプーランクと違い、オーケストラや室内楽とのコラボレーションが多いのが特徴的です。また、異国情緒を前面に押し出した歌が多いのもラヴェルならではの特徴です。「シェヘラザード」「5つのギリシャ民謡」「マダガスカル島民の唄」など異国の風薫る作品を楽しみましょう♪
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by borituba | 2017-03-07 22:07 | おんがく | Comments(0)

スーザのあとはやはり今日が命日のコダーイ・ゾルターンを聴いております。

コダーイの作品は吹奏楽者にとっては「ハーリ・ヤーノシュ」、近年では「孔雀変奏曲」ということですが、合唱を能くするみなさまには今も合唱コンクールでよく出る「ミサ・ブレヴィス」など合唱の難曲のイメージが強いでしょうか。

そんな中、吹奏楽者のあっしとしてはまずはここから、ということになります。
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コダーイ・ゾルターン:
組曲「ハーリ・ヤーノシュ」
ガランタ舞曲
ハンガリー民謡「孔雀」による変奏曲
ロンドン交響楽団
ケルテス・イシュトヴァーン(指揮)
やはりこの3曲から入ります。コダーイの代名詞であるハンガリー民謡をモダンなサウンドで再構成した傑作です。不慮の事故で夭逝して今だにその死が惜しまれているコダーイ門下のケルテスの貴重な記録としても素晴らしい演奏です。

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ハンガリー詩篇 Op.13
コズマ・ラヨシュ(テノール)
ブライトン・フェスティヴァル合唱団
ワンズワース・スクール少年合唱団
ロンドン交響楽団
ケルテス・イシュトヴァーン(指揮)
声楽の作品からは1923年のブダペスト50年祭のために作曲され、出世作でもある「ハンガリー詩篇」を聴きます。ハンガリー民族の苦難と栄光を称える讃歌ですが、当時独裁政治による圧政の下に苦しむハンガリー国民を鼓舞し、独裁政権へのブロテストを裏に秘めた力強い合唱の名曲で、ここでもケルテスの素晴らしいアンサンブル捌きが光っています。
by borituba | 2017-03-06 22:45 | おんがく | Comments(0)

今日は「マーチ王」ジョン・フィリップ・スーザ忌です。

今宵は吹奏楽者のあっしが40年来聴き続けてきたスーザのマーチ集を聴いております。
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「海を越える握手~世界のマーチ集」
ジョン・フィリップ・スーザ
海を越える握手
アメリカ野砲隊
雷神
ワシントン・ポスト
キング・コットン
エル・カピタン
星条旗よ永遠なれ
~その他世界のマーチ20曲
イーストマン・ウィンド・アンサンブル
フレデリック・フェネル(指揮)
スーザの代表的なマーチ7曲を中心にした「マーチでめぐる世界一周」。スーザの作品はすべて、収められた20曲のほぼすべて吹いたことがあります。スーザの作品ではありませんが、アール・E・マッコイの「消灯」は長年フジテレビのスポーツテーマでした。フジテレビが使っていたのがこのアルバムの演奏です。次にご紹介するアルバムも含め、すべての曲を指揮者のフレデリック・フェネルが校訂した譜面による演奏で、フェネルの校訂譜は世界中の吹奏楽団で演奏されています。
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「サウンド・オフ!&スーザ・オン・レヴュー」
ジョン・フィリップ・スーザ
サウンド・オフ!
神秘の殿堂の貴族たち
サーベルと拍車
ザ・ピカドール
アワー・フリーテイション
士官候補生
ザ・インヴィンシブル・イーグル
ビュレット・アンド・バイヨネット
自由の鐘
旗手と騎手
ソリッド・メン・トゥ・ザ・フロント!
第7騎兵隊の栄光
ライフル連隊行進曲
ゴールデン・ジュビリー
ゴールデン・ジュビリー(別テイク)
ザ・グリディロン・クラブ
ニュー・メキシコ
セスク-センテニアル・エクスポジション
黒馬騎兵部隊
カンザスの山猫
マンハッタン・ビーチ
名誉の砲兵隊
ザ・ナショナル・ゲーム
アメリカ海軍の栄光
「海を越える握手」に収められた7曲を除いたスーザの代表的マーチを集めた2枚のアルバムを1枚のCDにまとめたものです(「ゴールデン・ジュビリー」が2曲入っているのはそのためです)。LP時代から楽隊のコンサートのデモテープとしてとにかくお世話になりました。記憶をたよりに数えてみると実に20曲吹いています。中では中学時代のアメリカ演奏旅行で演奏した「神秘の殿堂の貴族たち」と、15歳から30年過ごした楽隊のコンサートで締めに必ず演奏した「名誉の砲兵隊(螢の光行進曲)」があっしにとっては忘れることのできない作品です。

2枚ともあっしの吹奏楽者としての原点で、スーザの楽しさと凄さにどっぷり浸ることができる名盤中の名盤です。
そしてイーストマン・コダック社製の35ミリフィルムを使用した録音は、50年以上前の録音とは思えない鮮度で、スーザのダイナミックなマーチの魅力を余すところなくとらえていて、録音技術史的にも貴重な記録です。
by borituba | 2017-03-06 20:43 | おんがく | Comments(0)