2008年 08月 04日
シリーズ-東京の地下鉄を診断する:銀座線
1.路線の距離と所要時間(スピード)
渋谷-浅草間(14.3km)を約30分、電車の最高速度は65km/hと、戦前に作られた地下鉄としてはかなり速いと言えます。
2.路線の便利度(相互乗り入れ・他路線とのアクセス)
銀座線は第3軌条式集電のため、相互乗り入れはありませんが、東京最初の地下鉄として、その後の地下鉄の基本線になったこともあり、他路線とのアクセスは非常に便利になっています。
全19駅中他路線との接続がないのは外苑前・虎ノ門・京橋・末広町・稲荷町・田原町の6駅で、2/3の駅で乗換えが可能です。今回の診断で重要なファクターの一つとしている「山手線とのアクセス」も、上野・神田・新橋・渋谷と4駅もあり、全通から70年近くを経て、今も東京の交通アクセスの支柱としての地位を維持しています。
ただ、地形の関係で渋谷駅付近で地上へ出て、ビルの3階に突っ込む形で駅が作られ、その後の増改築で駅がかなり手狭になっていることと、駅の場所が若干わかりにくくなっているのが欠点で、渋谷駅での乗り換えは、特に地下の半蔵門線・副都心線・東急田園都市線とのアクセスは不便で、半蔵門線とのアクセスは表参道駅の方が便利です。いずれ東急東横線が地下に入ったときに渋谷駅周辺の人の流れが大きく変わることが予想され、銀座線駅の改良など対策が注目されます。
3.ダイヤ(路線内乗継の問題など)
昭和の大恐慌をはさんでの突貫工事で作られたためにホーム設備が16m車6連分しかないため、開業当初から運転間隔を詰めて列車を頻発するダイヤになっており、現在はラッシュ時2分15秒間隔という、日本の、いや世界的にも鉄道有数の過密ダイヤになっています。ラッシュ時前後と深夜帯には上野止まりの列車がありますが、すぐ浅草ゆきが来るので、それほど深刻なネックにはなっていません。
4.車両
すべて01系6連で統一されています。全38編成のうち2編成はVVVFインバータ制御ですが、後はチョッパ制御で、車両のスペックは基本的に同じで、精密なダイヤを維持するための大きなメリットになっています。かつて「隣の人と話もできない」ほどうるさかった騒音もかなり軽減され、また、薄型クーラーの開発で冷房化され、標準軌の安定性もあって乗り心地はかなり向上しました。
5.その他
銀座線の歴史は、そのまま東京の都市交通の歴史と言ってもいいでしょう。東京の都心をほぼ南北に貫く「軸」として真っ先に作られたことは、その後の都市交通の整備の上での重要なファクターとなりました。第3軌条式、標準軌ということで相互乗り入れがないということはありますが、都心を移動するための足としてはかなり便利であることには変わりはなく、まさに「老舗の風格」があります。従って、この線の診断は満点です。
☆☆☆☆☆
※診断結果を星で表すことにしました(満点は5つ)。