平和への祈り~スラーヴァの命日によせて

今日はスラーヴァことムスティスラフ・ロストロポーヴィチ御大の命日です。今日はスクリャービンとメシアンの命日でもありますが、日本と日本人を愛し、またご縁の深い御大を偲ぶ鑑賞に専念したことです。

偉大なチェリストとして、また指揮者としての活躍はもちろんですが、小澤征爾さんとの交流をきっかけとして大の親日家で、ほぼ毎年のように来日してチェリスト、指揮者共にたくさんの公演を行いました。そのためロシアの巨匠の中では飛び抜けて日本人に馴染みが深く、あっしも新日本フィルの公演で何度も聴いています。

そのため御大の来日公演の思い出がたくさんあります。
ブリテンが夫人のヴィシネフスカヤさんを想定して書いた「戦争レクィエム」。すみだトリフォニーホールのこけら落としシリーズで、東京大空襲で多くの犠牲者を出した墨田区ということであえてレクィエムを演奏したのです。

奇しくも阪神・淡路大震災の翌日、サントリーホールで行われたN響と小澤征爾さんの歴史的和解コンサート。ドヴォルジャークの協奏曲のソリストとして出演していた御大が、アンコールで拍手を辞退して弾いたバッハ。

生涯最後のステージとなった新日本フィルの定期公演。ショスタコーヴィチの交響曲第8番の終演後、いとおしそうにスコアを抱き締めた御大。

テレビでのインタビューが縁で、平和への想いを一にしていた筑紫哲也さんとは親友で、御大の公演のとき、オーチャードホールやサントリーホールのロビーでお見かけしました。

日本が大好きだった御大。わけても相撲が大好きで、新日本フィルの公演は両国国技館の場所に合わせて1月か5月に設定されていました。

御大の発案によりロンドンと東京で行われたコンサート・バレエプロジェクト「ロメオとジュリエット」。東京公演は新日本フィルが起用されましたが、公演の前日に、トリフォニーホールこけら落としシリーズのR.シュトラウス「ドン・キホーテ」(小澤さん指揮)で共演したヴィオラ首席の白尾偕子さんが急逝、異様な空気の中の公演が忘れられません。翌々日の葬儀に参列した御大は弔辞の代わりに阪神・淡路大震災のときと同じバッハを献奏したそうです。

御大が遺されたバッハの録音は敬愛するパウ・カザルスのそれと同じく「祈りの音楽」です。技術論でいえば必ずしも名盤ではないのかもしれませんが、平和への祈りの音楽としてこれ以上のものはありません。世界中で戦火が絶えず、日本の周りもきな臭くなりつつある今、御大の命日を機縁として、平和への想いをこめて味わいたいものです。…合掌。

今日聴いた音盤
プロコフィエフ:
交響曲第5・7番
フランス国立管弦楽団
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チャイコフスキー:
交響曲第1番「冬の白昼夢」
交響曲第2番「小ロシア」
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
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ショスタコーヴィチ:
チェロ・ソナタ
ベンジャミン・ブリテン(ピアノ)
チェロ協奏曲第1番
フィラデルフィア管弦楽団
ユージン・オーマンディ(指揮)
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J.S.バッハ:
無伴奏チェロ組曲第2番ニ短調 BWV.1008
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by borituba | 2017-04-27 23:15 | おんがく | Comments(0)