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シリーズ・東京の私鉄診断-東武東上本線

1.路線の距離と所要時間(スピード)
全線は池袋-寄居間75.0kmですが、現在は小川町(64.1km)で完全に運転系統が分断されて、全線を走り通す列車はありません。秩父鉄道への営業列車の乗り入れを止めたあとは観光路線としては川越へのアクセスに特化してきています。
急行で和光市まで13分、志木まで19分、川越まで30分、東松山まで39分、小川町まで1時間13分です。池袋-川越間でJR埼京線・川越線と競合していますが、この区間だけでJRは快速でも49分かかっているので相手になりません。準急でも川越まで43分、各停で乗りとおす場合は日中はほとんど志木で乗り継ぎになりますが、それでも大体1時間前後で川越まで行けます。

2.乗入れの形態
和光市で東京メトロ有楽町線・副都心線とつながり、相互乗り入れを行っています。東武は本線格の東上・伊勢崎の両線とも相互乗り入れを行っていますが、すべて両端型の東急とは対照的にすべて合流型になっています。それぞれのターミナルである池袋・浅草がともに延伸・移転が難しい立地条件であるので止むを得ませんが、これが東武の相互乗り入れの最大のネックになっているのは否めない事実です。東上本線の場合、乗入れ駅が和光市とかなり先になるため、乗入れ列車はすべて各停とせざるを得ません。準急はすでに成増から各停なので、副都心線の急行を準急と考えればいいのかもしれませんが、後述する和光市での接続が悪いので、乗り継ぎが非常に不便になっています。
3.路線の便利度(他路線とのアクセス・優等列車)
他路線とのアクセスは、池袋・和光市・朝霞台・川越・坂戸・小川町・寄居です。徒歩連絡が至近な下赤塚・成増・川越市を含めれば、かなりアクセス駅が多いように感じますが、これは西武が他路線とのアクセスがほとんどないことでの比較的なイメージのように思います。
優等列車は、かつては準急・急行と休日に臨時的に運行される特急と至ってシンプルでしたが、現在は多様化してきました。標準的な優等列車である急行の停車駅は成増・和光市・朝霞台・志木・ふじみ野・川越から先の各駅で、これは長年変わっていません、準急は成増から先各停、通勤急行は志木まで急行と同じで志木から先各停です。これにTJライナー登場で廃止になった特急に代わる快速急行(停車駅:和光市・志木・川越・川越市・坂戸・東松山から先各駅)と、副都心線の東横線乗り入れ開始の今年3月のダイヤ改正で快速(停車駅:川越市までの急行停車駅と若葉・坂戸・東松山から先各駅)が新設され、これに有料着席券制のTJライナー(停車駅:ふじみ野・川越・川越市・坂戸・東松山から先各駅)を加えた6種の優等列車が設定されています。

4.ダイヤ(路線内乗継の問題など)と車両
車両は東急車が入るようになって一気に多彩になりました。従来からの東武8000系・9000系・10000系・伊勢崎線筋から移籍してきた30000系・50000系・50070系・TJライナー用50090系、東京メトロ7000系・10000系に加え東急2代目5000系、横浜高速Y500系と、なんと4社11種類にもなります。これは京急に次ぐバラエティの豊富さです。
しかし、ダイヤ面ではこのバラエティを生かし切っているとは言えません。それはことに和光市で顕著な緩急接続の悪さです。メトロで和光市に到着すると、反対側のホームから急行が無慈悲に発車していく…という光景に何度も遭遇しています。和光市-志木間は複々線になっていますが、優等列車と各停がテンデンバラバラに走っているような印象を受けます。乗入れ駅とターミナル駅にズレがあるところが東上線のネックになっているように思います。乗客の流れが和光市中心に移行しているのに、いまだに各停の最短終着が成増のままで、急行停車駅になっているのは時代の流れに付いていけていないのではないかと思います。
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2011.7.3 東武鉄道東上本線新河岸-川越間
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2011.7.3 東武鉄道東上本線新河岸-川越間
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2012.6.23 東武鉄道東上本線みずほ台駅
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2012.6.23 東武鉄道東上本線みずほ台駅
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2012.6.23 東武鉄道東上本線柳瀬川駅
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2012.6.23 東武鉄道東上本線柳瀬川駅
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2013.3.16 東京急行電鉄東横線都立大学駅
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2013.3.16 東京急行電鉄東横線都立大学駅
5.総合診断
東武の本線格は相互乗り入れを行っていますが、メトロを介しての乗入れ相手がいずれも東急というのは奇しき因縁を感じます。そして、乗り入れのメリットを半ば独り占めしているような東急に対してかなりワリを食っているところまで一緒です。
和光市というかなり下ったところからメトロが乗り入れてくることにより、乗入れ列車を確定にしなければならないところが最大のネックですが、せっかく快速というコンテンツを導入したのですから、西武がやっているように快速を乗り入れ列車中心にして和光市からの運用にするとか工夫はいくらでもできるのではないかと思います。それができなくてもせめて和光市での緩急接続をもっと改善してほしいと思います。小田急が代々木上原でやっているような緩急接続がなぜできないのか、そのあたり非常に不思議に思います。
もう一つ不思議なのは成増をどうしてそんなに重視するのかということです。成増止まりの各停は今やあまりメリットがあるとは言えず、電留線がないので和光市止まりは無理としても志木ゆきに統一して、今の通勤急行を準急にすればだいぶ利便性が向上するのではないか…乗り入れのメリットをもっと生かす努力が必要だと思います。


★★★(星は5つが最高です)
by borituba | 2013-05-06 10:05 | てつどう