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シリーズ・東京の私鉄診断-東急東横線

1.路線の距離と所要時間(スピード)
渋谷-横浜間約24km・21駅を各停約45分、急行約30分、特急約27分で結びます。停車駅数がかなり違うわりには特急と急行の差が小さいですね。同じく京浜間を結ぶ京急が約22kmで快特が約17分で走破するのに比べると軌間、停車駅数の差を考慮してもちょっと水を開けられすぎです。特急は湘南新宿ラインに対抗して鳴り物入りで登場しましたが、これではメリットは運賃くらいしかありません。地下鉄副都心線との相互乗入れが始まると、競合関係に拍車がかかることは確実で、一層のスピードアップが求められます。
2.乗入れの形態
相互乗入れには大きく分けて2つの形態に分かれます。お互いが起終点でつながっている「両端型」と、途中駅から乗入れてくる「合流型」です(今後の診断でこの項目ではこの用語を用います)。東横線は現在、東京メトロ日比谷線と相互乗入れを行っており、合流型乗入れですが、2013年3月16日からは同副都心線と渋谷駅でつながり、日比谷線との相互乗入れは解消するので、両端型になります。両端型になることで列車種別に融通が利くようになるので、特急の増発・スピードアップが期待できます。
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2012.11.25 東京急行電鉄東横線都立大学駅
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2012.11.25 東京急行電鉄東横線都立大学駅
3.路線の便利度(他路線とのアクセス・優等列車)
他路線とのアクセスは渋谷・中目黒・自由が丘・田園調布・多摩川・武蔵小杉・日吉・菊名・横浜の9駅、全体の2/5弱で、すべて急行停車駅です。優等列車の停車駅は特急が渋谷・中目黒・自由が丘・武蔵小杉・菊名・横浜の6駅、急行はこれに加えて学芸大学・田園調布・多摩川・日吉・綱島に停車、実に11駅と全体の半数以上の駅に停まることになり、急行とは名ばかりの「隔駅停車」などと揶揄されてきました。特に自由が丘-田園調布-多摩川の3駅連続停車は評判が悪く、学芸大学・多摩川・綱島を外して特急+2~3くらいにするような改革が必要と思います。
4.ダイヤ(路線内乗継の問題など)と車両
日中は概ね特急1・急行1・各停3(日比谷線乗入れを含む)の15分サイクルになっています。緩急接続は自由が丘と菊名で行います。しかし、各停が待避できる駅は他に元住吉しかなく、急行が前述のとおりの「隔駅停車」ということで、特急のスピードアップのネックになっているのは否めません。
車両は、日比谷線乗入れ解消で18m車は姿を消すことになり、20m4扉に統一されます。乗入れ車両も現在のメトロ03系に代わって、西武6000系・東武9000系・50070系・メトロ7000系・10000系と一気に多彩になります。一方の東急車は、乗入れ解消を機に1000系が引退(ただし車両不足補填のため日比谷線に譲渡ないしリースで生き残る可能性があります)、9000系と2代目5000系の2系列になりますが、9000系は副都心線(地下鉄)対応でないため、線内運用専用になるか、2代目5000系10連編成の増備に伴って大井町線への転属や引退の可能性が濃厚です。ただ、これで車両のスペックが概ね揃うことになるので、列車のスピードアップやホームドア設置などの改善が期待できます。
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2012.6.23 東武鉄道東上本線みずほ台駅
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2012.6.23 東武鉄道東上本線みずほ台駅
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2012.8.13 西武鉄道池袋線東久留米駅
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2012.9.17 東京急行電鉄東横線都立大学駅
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2012.9.17 東武鉄道東上本線みずほ台駅
5.総合診断
曲がり角を迎えた相互乗入れの世界にあって、まさに角を曲がろうとしているのが東横線です。半世紀近くにわたって続いた日比谷線との縁を切り、急行停車駅のホーム延伸や2代目5000系10両固定編成の投入などかなりの設備投資をしてまさに「社運を賭けて」の一大プロジェクトとしての「歴史的握手」が始まろうとしています。
ハード面の改善は進みましたが、ソフト面。すなわちスピードアップや急行停車駅の改訂など課題は山積しています。特に、本体がとっくに移転してしまった学芸大学や、盛り場としてはもう過去のものになってしまった綱島、高級住宅街ということ以外の何物でもない田園調布(田園コロシアムも今はない)に急行を停めるメリットがあるとは思えません。副都心線乗入れという新しいコンテンツを手にする今、沿線の動向を検証し、運賃以外の「乗るメリット」を掘り起こす必要があり(池袋-横浜間で500円でお釣りが来る。というのは相当のメリットではありますが)、今こそチャンスだと思います。星は現状では2つが関の山ですが、期待と激励ををこめて3つにします。


★★★(星は5つが最高です)
by borituba | 2012-12-16 21:52 | てつどう