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シリーズ「吹奏楽の楽器たち」第11回

シリーズでご紹介してきた吹奏楽の楽器も大詰となりました。
最後にご紹介するのはテューバです。ご存知の通り金管楽器の、そして吹奏楽の最低音を受け持つ楽器です。
当団のテューバパートでは、3種類の楽器を使っています。左はE♭バスです。この楽器は、右の2台と違い、第3回、第9回でご紹介したアドルフ・サックスが開発した「サクソルン属」になります。もちろん英国式ブラスバンドでは主力ですが、イギリスのオーケストラのテューバ奏者はこれを使う人も多く、私が吹奏楽を始めた頃に神様的存在だったフィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルの不動のテューバ奏者、故・ジョン・フレッチャーは、ロンドン交響楽団の首席テューバ奏者でもあり、どちらもE♭バス一本でこなしていました。
中央は私の楽器で、これはC管です。アメリカ、フランスのオーケストラでは標準的な楽器ですが、吹奏楽に入ってきたのはわりと最近です。テューバは、金属加工技術の発展に伴って、だんだんと音域を「下げて」いった楽器です。最初期は一番高いF管が作られ、その後C管、B♭管が作られました。オーケストラ作品をアレンジした曲がレパートリーの中心としてきた吹奏楽では、コントラバスの音を模倣するためにより落ち着いた音色の(実際コントラバスとの相性もいい)B♭管が主力になっていましたが、戦後、オリジナル曲が数多く作られるようになり、テューバ独自の音色も必要とされるようになると、C管も使われるようになりました。
右側がB♭管。吹奏楽では今でも主役であり、最も標準的な楽器です。ドイツ・オーストリアではオーケストラでもよく使われ、ウィーン・フィルやドレスデン国立管弦楽団など、歴史の古いオーケストラでは、作曲者がC管やF管を指定している場合を除きB♭管を使っています。
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2005.8.13 合宿所合奏場にて

今回の「惑星」では、テューバは原曲に指定された一本を除き、コントラバスの譜面を吹くことになります。そのため、音色を変えるためにミュートを使用します。トランペットやトロンボーンのミュートは小さいので付けたり外したりは簡単ですが(膝に挟んで素早く着脱する「技」もあります)、下の画像のようにテューバのミュートはひときわ巨大で、かつベルが上を向いているので付けるのも外すのも大変で、他の楽器のミュートと違い、取っ手が付いています。タダでさえ大きな楽器なので目立つところへ持ってきて、金属製のミュートなので、着脱の時に楽器に当ると「カーン」という大きな音がするので、音を立てないように慎重に扱います。そのあたりをホールでご覧下さい。「火星」「金星」「土星」「海王星」で使用します。
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2005.8.13 合宿所合奏場にて
by borituba | 2005-08-29 23:34 | おんがく