シリーズ「吹奏楽の楽器たち」第10回

ホルンをご紹介しましょう。
ホルンはご存知のとおり、角笛がルーツ。材質は角→木→金属と変わりましたが、基本的に形そのものは変わっていません。金属製になったときに長い管を丸めることにより現在のようなコンパクトな形になりました。
現在ではバルブでどんな音階も出せるようになりましたが、かつてはバルブがない一本の管(ナチュラル・ホルンといいます)でした。それでどうやって音階を出すのか?まず、調性ごとに長さが違う管を使いました。交響曲などで楽章によって調が違う場合や、大きな転調がある曲では、複数の違った調性の楽器を用意して、持ち替えていたのです。しかし、バルブのない管では、どうしても出せない音が発生します。それを克服するためにホルン独特の奏法が開発されました。ベル(ラッパ)の中に手を突っ込んで、その角度を変えて、時には手のひらでふたをするようにして、音を変える「ゲシュトップ」という奏法です。これが開発されて、ホルンは一応音階が吹ける楽器になったのです。のちにバルブが付けられるようになり(初期はピストンでしたが、現在ではロータリー・バルブが主流です)、ゲシュトップで音を変える必要はなくなりましたが、ゲシュトップを用いるとミュートと同じ効果があり、また、普通のミュートと違った鋭い金属的な音(管が詰まることによる抵抗で緊張感が発生し「ビーン!」という音になる)になるので、近代の曲では特殊効果として用いられ、音をより大きく、くっきりさせるための道具(ゲシュトップ・ミュートといいます)も開発されたのです。チャイコフスキーの「悲愴」交響曲の大詰で、うめき声のように「ジィーッ」と響くゲシュトップ音は、ゲシュトップ・ミュートで作ります。また、ナチュラル・ホルンの時代の名残りで、現代のホルンは金管楽器で唯一左手でバルブを操作します。
吹奏楽でのホルンの重要な役割に、「後打ち」というのがあります。マーチのリズムによくある「ブン・チャッ・ブン・チャッ」の「チャッ」の部分です。もちろんカッコイイメロディを朗々と吹くところもたくさんありますが、普通のマーチの中ではまず必ずといっていいほど「後打ち」が登場します。熟練すると何でもなくなるのですが、実は初心者にとっては難物で、ホルン奏者が最初に当る「カベ」になっています。現在トッププロとして活躍している人たちも、駆け出しのころは苦労したらしく「後打ちができなくて大いに悩んだ」というエピソードは枚挙に暇のないほどです。
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2005.8.13 合宿所合奏場にて
by borituba | 2005-08-27 08:40 | おんがく | Comments(0)